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気分

ランナーズハイという現象がある。

マラソンランナーとかが長時間走っているとしんどいのを通り越してむしろ気持ちよくなっていつまでもどこまでも走りたくなってしまう状態をいう。

 

話しだけ聞くとなんだか健康的なイメージを抱くが、そうではないと思う。

レッドゾーンでエンジンを動かし続けるとか、火事場の馬鹿力とかに似ている。

一応、出力として出せないことはないのでいざという時には出るが、常時それをしていると身体(機器)がぶっ壊れる、という状態である。

 

心身的な反応としては、双極性障害、つまり思いっきり気分が浮ついたり(躁)、その逆に思いっきり気分が落ち込んだり(鬱)してしまう障害の、「躁状態」に似ていると思う。

 

「躁状態」はむやみやたらと活動的になったり、気が大きくなったりして「何でもできる!」「怖いものはない」みたいな状態になる。

元気のない現代日本において、言葉だけ取り出すとなんだかポジティブに聞こえるが、決していいものではない。

例えば、大言壮語をぶちまける、暴力的になる、車に乗ったらスピードを出し過ぎ、高価なものを躊躇なく買ったりしてしまう。

ランナーズハイになったときに、調子に乗っていつもより速度を上げたり、距離を延ばしたりすると身体へ大きなダメージを与えてしまうのに似ている。

 

ちなみにぼくは自転車のロードレース中に「今日はすごく調子がいい! 行ける!」と思って飛ばしまくっていたらすっころんで鎖骨を折ったことがある。

 

気分というやつは、良くするとか上げるとかよりも、一定に保つ、ということが大切なんだろうと思う。